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CATEGORY キッチンの制作について

「段付きシンク」作業のしやすさとキッチンの工夫

キッチンでの作業中、「まな板で切るとき、もう少し低いと楽なんだけど…」と思ったことはありませんか?

実際、まな板作業や水切り作業は、標準のワークトップよりも3〜5センチ低いと身体への負担が軽くなり、作業もスムーズになることを私も実感しています。

人間工学的には、「切る」「洗う」「盛る」など、それぞれの動作に合った作業高さがあるのが理想。でも、家庭のキッチンは基本的にワークトップの高さが一律で、すべての作業に最適化されているわけではありません。

そんな中で注目したいのが「段付きシンク」。

シンク内に段差があることで、作業ごとに適した高さに調整できる工夫がされています。

このアイデアは新しいようでいて、実は業務用キッチンやプロの厨房では昔からあった工夫の一つ。家庭用キッチンに取り入れられるようになったのは、ここ10〜15年で各メーカーが使いやすさを見直し始めた流れの中で、徐々に広がってきたと言えます。

たとえば、大手キッチンメーカーでは次のような段付きシンクがラインナップされています:

LIXIL:ひろびろラクリーンシンク(アレスタ、ノクト)

タカラスタンダード:家事ラクシンク(レミュー、トレーシア)

そしてもちろん、オーダーキッチンなら、使用する人の身長や調理スタイルに合わせて、段差の位置や深さ、シンク幅などを細かく設計することも可能です。
「誰が、どんな作業を、どんな姿勢で行うか」を丁寧に考えながら設計できるのが、オーダーキッチンの醍醐味ですね。

 

実は、段付きシンクのアイデアを大胆に進化させたパイオニアが、トーヨーキッチンスタイルです。
「3Dシンク」と名付けられたその設計は、シンクの中に段差だけでなくレールを設けて、まるでキッチンに“立体的な作業ステージ”を持ち込んだかのよう。
洗って、そのまま切って、盛りつけまで。
プレートを使えば、まな板も水切りもシンク内で完結する合理性は、まさに機能美の極み。
実用的で美しく、プロの厨房のような発想が家庭に届いたことで、段付きシンクの可能性が一気に広がりました。

ここで一般的な人間工学に基づくキッチンの高さ設定のご説明をします。

*基準となる高さ(ワークトップ)身長÷2+5cm(日本工業規格 JIS S2026) 例)160cmの方 → 160÷2+5=85cm
*作業別の理想的な高さ(JIS S1012 より)
作業内容 理想的な高さ 特徴
・盛り付け・ちょっとした作業 ワークトップの高さ(基準) 腕がリラックスした状態
・まな板での切る・刻む 基準より 約3〜5cm低め 肘がやや曲がり、力が入りやすい姿勢
・煮る・焼く(コンロ周辺) 基準より 約5〜10cm低め 鍋やフライパンの中が見やすい

私は前に書きましたブログ「キッチンの高さ」もご参考にしてください。

段付きシンクは、単なる“便利グッズ”ではありません。
あなたの体格や作業スタイル、暮らし方に合わせて設計することができる──それが最大の魅力です。
大手メーカー製品のように完成されたスタイルも良いですが、
「私は水切りだけ少し低めにしたい」「下ごしらえだけ段が欲しい」という方には、オーダーでの設計が向いている場合もあります。

段付きシンクの「力が入れやすい」「腕が自然に下がる」という感覚は、人間工学で言う「肩や肘の負担軽減」の好例です。