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CATEGORY キッチンの歴史/ビルトイン機器

昭和レトロなピース天火

「ピース天火」という名前のガスオーブンをご存じですか。

料理は苦手でも道具は揃えて家族に喜ばれる料理をしたい母は、古くは無水鍋から、いろいろ調理器具を揃えることが好きでした。それでも使いこなすことが出来ず、どれだけシュークリームが膨らまずに捨てたり、シチューを焦がしたりしたことか。それほど多くも少なくもない公務員の父のお給料を、「あんたたちがお肉をたくさん食べるから、おうちにはお金が無くなるでしょ!」とまだ小学生の子供たちに怒鳴りつけていた母が一番の無駄使いをしていたのだと思います。いくら見合いで第一印象が気に入ったとは言え、父はとんだ嫁を貰ったものです。客観的に見て、母は「大外れ」だったと思います。(笑)

そんな母が私が中学生のに買ってしまったのが、「ピース天火」です。この「ピース天火」は、見た目はオーブンの形をしていますが、下部がガスなどの直火で温める構造になっています。
その熱がオーブン全体を温め温風が対流し、温度計が付いていて、200℃位に熱することが出来ます。つまりオーブン料理が出来ます。

これは中学生の私にヒットしました。
クッキーもケーキも焼くことが出来ます!
私はレシピを探して、アイスボックスクッキー作りに夢中になりました。またある時はクリスマスケーキ作りに夢中になりました。アイスボックスクッキーは、チェッカー模様にしたり、渦巻き模様にしたりで思いっきり楽しみました。アイスボックスクッキーは型がなくても作れて、クッキーの種を全て使い切れるとても経済的なクッキーなのです。クリスマスケーキで得意だったのは、ブッシュドノエル。ロールケーキです。これも比較的上手に膨らみ、恰好も雰囲気も良く出来上がります。

そしてそのクッキーを大箱に詰めて、学校に持って行きました。クリスマスもバレンタインも関係ありません。男の子にも女の子にもとにかくみんなに配りました。褒められたい訳でもなく、ただ沢山焼いちゃったからみんなに食べて貰いたかったのです。学校もよく持ち物検査なんかで摘発しなかったものだと思います。もちろん先生に密告するクラスメートは皆無でした。

ピース天火は使い方にコツがあります。
温度管理はガスの火加減で温度計を見ながら行います。
天火とガスコンロには炎の周り方に癖があるので、どのあたりが焦げやすいかは慣れで覚えていきます。
焼く時間は、勝手に止まったりしませんので、時計かキッチンタイマーで測りながらガス火の調整をします。
今時のオーブンとは全く勝手が違います。

しかしオーブンを毎日の料理に当たり前に使う欧米では、この使い方が基本になっています。
温度管理とガラス超しに見える料理の様子を観察し、匂いを意識し、慣れで使いこなします。
なのでオーブンにはタイマー機能はついていても、日本人のようにタイマーに依存することはないのです。

レシピはレシピとして、肝心なのは自分流に使いこなし、自分がおいしいと思える温度帯と時間で料理することなのですね。