COLUMN

  1. TOP>
  2. COLUMN>
  3. 配膳口のある住宅

column003配膳口のある住宅

CATEGORY キッチンの歴史

配膳口のある住宅

 

明治後期から昭和初期のハイカラな文化住宅。
いわゆる東西に廊下が走る「中廊下型住宅」。
女中部屋と台所が北側に配置されていました。

廊下を挟んで食堂で家族が食事。
古い建物を見に行くと、廊下に配膳口があることがあります。
台所で作ったお料理を運ぶ為に、壁に穴を開けて扉を付けたしつらえです。
女中さんから家族のプライバシーを守る為の知恵なのでしょうが、
ごく小さいものもあり、合理的だったかどうか、
実際に使われていたのかどうか、疑問もありますが、
この小さなしつらえを見ると、小さな喜びを感じます。
どんな思いでこのデザインが設計されたのだろう、
どんな思いで大工さん、職人さんがつくったのだろう、と妄想します。
画像は札幌、芸術の森の有島武郎旧邸の配膳口です。
元は現在の北海道大学の近くに、大正2年8月に竣工しました。
間取りや窓のデザイン等は、有島が決めたと考えられています。
この配膳口もそうなのでしょう。
建物は昭和61年、芸術の森へ移築復元され一般公開されています。
当時の生活が偲ばれます。